屋内環境におけるWBGT-見落とされがちな“室内の暑さリスク”
■はじめに
熱中症というと「炎天下の屋外」をイメージしがちですが、実は屋内でも深刻なリスクが潜んでいます。
特に工場、倉庫、体育館などでは、気温以上に体への負担が大きくなることがあります。
そのリスクを正しく評価するための指標がWBGT(暑さ指数)です。

■屋内環境におけるWBGTー見落とされがちな“室内の暑さリスク”
1.屋内WBGTの計算式
環境省の説明によると、屋内のWBGTは次の式で算出されます:
WBGT=0.7×湿球温度+0.3×黒球温度
屋外と違い、乾球温度(気温)は計算に含まれません。
これは、屋内では直射日光の影響が少なく、代わりに輻射熱(屋根・壁からの熱)が大きく影響するためです。
2.なぜ屋内のWBGTは重要なのか
屋内環境は一見『安全そう』に見えますが、実際には次のような特徴があります。
●屋根や壁からの輻射熱
建物の屋根や壁が太陽光を吸収し、室内に放射するため、黒球温度が上昇します。
●風が通りにくい
屋内は自然風が入りにくく、汗が蒸発しにくいため、湿球温度が高くなりやすい。
●気温よりも“体感の暑さ”が強い
気温がそれほど高くなくても、湿度と輻射熱の組み合わせでWBGTが危険レベルに達することがあります。
3.屋内WBGTの測定ポイント
厚生労働省の資料では、屋内測定の注意点として次が挙げられています。
・床上0.5~1.5mの高さで測定する(人の呼吸域)
・黒球温度は安定するまで15分以上放置して測定
・湿球温度は自然通風で測定(強制通風はNG)
これらは、実施アの作業者が受ける熱ストレスを正確に反映するための重要なポイントです。
4.WBGTと屋内作業の危険度
JIS Z 8504や環境省の指針では、WBGT値について次のような危険度が示されています。
| WBGT | 危険度 | 作業の目安 |
| 28以上 | 厳重警戒 | 中程度以上の作業は危険 |
| 25~28 | 警戒 | こまめな休憩・水分補給 |
| 21~25 | 注意 | 熱中症の可能性あり |
| 21未満 | ほぼ安全 | ただし油断は禁物 |
湿度が高い日や晴天日にも上昇することが多く、日々の測定が欠かせません。
5.まとめ
屋内環境におけるWBGTは、『見えない暑さ』を数値化し、作業者の安全を守るための最も信頼できる指標です。
・気温が低くても危険になる
・輻射熱と湿度が大きく影響する
・正しい測定方法が重要
・日々のWBGT管理が事故を防ぐ
工場、倉庫、体育館など、屋内で働く人々の安全を守るために、WBGTの理解と活用は欠かせません。
